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淫艶の庭・10

2005–10–06 (Thu) 00:07
やっと「淫艶の庭」完結です。
なんだか自分でも収拾がつかないまま終わってしまったような気がしますが……(大汗)
でも、このパターンはこういう終わらせ方しかないような。う~ん。
(要するに想像力貧困なんだよっ(泣))
もっと奇抜な展開を期待していた方々、すみませ~んm(__)m

一番の心残りは、子奴隷の処遇かなぁ。
もっとあれこれ考えてはいたんですが、そうなると中編予定のこの話の範疇を大きく超えてしまいそうだったので・・・。
今回のことを教訓に、また淫靡アキラを別な話として書きたいかも…。

まあ、私的には淫靡なアキラをたくさん書けたので結構満足してるかも(笑)
(ストーリー的には不完全燃焼なきらいはありますが…)

最後までお付き合いくださって、ありがとうございました。
追記 – open
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テーマ→咎狗の血 / ジャンル→ゲーム

淫艶の庭・9

2005–09–11 (Sun) 23:30


 翌朝、というよりは昼近くだったが、アキラはいつもより早く目覚めた。当然、もう隣にシキはいない。いつものことだったから別段失望することもなく、まだ微かに残るシキの香りに包まれてそのまままどろんでいたアキラだったが、ふと思い出したことがあった。
 ――― そういえば、確か…
 今日から遠征だと、シキは言っていなかったか……。
 激しい情交の後、疲れ果てたアキラが闇に吸いこまれるように眠りに落ちていく時。まるでどうでもいい寝物語のついでのように、ちょっと近所にでかけて行くかのように、そう言っていた。
 しばらくぶりの長期遠征。だがそれも、今のシキにとってはほんの散歩程度の感覚なのかもしれない。
 そして、アキラはというと…。
 今ではもう半身と呼べるほどに馴染んだシキがいないことは確かに寂しくはあったが、久方ぶりにまたあの退廃的な悦楽を味わえるのかと、少々歪んだ期待もあった。
「今度は、どんな趣向にしようか…」

 子奴隷は、主が寝入ったことで今は部屋から退室しているようだった。しかしアキラはそんなことを気にかける様子もない。あれのことは、正直、シキが側にいたからこそ精神的にも肉体的にも満たされつつ持てた余裕あってのことだった。
 どうせこの体は、シキ無しでは二日と持たないだろう。それは今までの経験から嫌というほどわかっている。夜毎にシキの熱を求める体を持て余し、一人で眠れぬ夜を過ごすなど、考えただけでも寒気がする。
 せめて、シキには到底及ばぬながら、その最後に見せてくれる様々な断末魔の様子を脳裏に描きながら城の男たちに抱かれることで、冷めぬ熱を宥めるしかないのだ。
 そういう体になってしまったのだから。そうなることを、シキが望んだのだから。
 そして、アキラ自身も………。
 ふいに、再び子奴隷のことへと思いが飛んだ。
 ――― そういえば…
 あの子供がこの城に来てから、シキがいなくなるのはおそらく初めてのことだろう。すなわちそれは、アキラの例の行動もまだ知らないということになる。
 それを知った時、それらの場面を目の当たりにした時、あの子がどういう反応を示すのか――。
「楽しみが一つ、増えた…」
 退廃的にほくそえむアキラは、堕天使のごとく妖艶さを増していた。

 夜―――

 主の居ない夜の城は、久しぶりの緊迫感が漂っていた。シキが在城している時には有り得ない種類の、切羽詰った空気が満ちている。
 そう、アキラの、獲物を求める徘徊が始まったのだ。
 標的にされないようにと、任務のない者たちは皆、早々に部屋へと閉じこもって息を潜めていた。
 しかし、夜番の任務に当たる者たちはそうはいかない。任務を放棄すれば、他の者たちによって即時に抹殺される。それがこの城の鉄の掟でもある。
 そして、万が一、アキラに選ばれてしまえば、シキによって斬殺される。
 どちらにしても、助かる道はないのだ。
 ならば、もしもアキラを一晩でも抱けるのなら、それを最後の享楽と甘んじて受け入れるしかない。そして、むしろそうなることを望んでいる輩たちも、この城においては少ないとは言えなかった。
 それほどまでに、類稀な色香を撒き散らすアキラは、男たちを狂わせるに充分な存在だった。
 彼の人を抱いて至福の時を一時でも持てるのなら、何でもしようと。
 甘く蕩ける喘ぎを間近で聞いて、ふくよかな芳香に包まれながらあの華奢な体を己が欲望で貫けるのなら、命でさえも惜しくはないと思わせるほどには…。

 シキが帰ってくるはずの前日まで、アキラがこうしてただ物色するように城中を徘徊するのも、自分の姿を見せつける目的もあった。まるで、最高の餌を目の前にぶら下げておいて、堪えきれなくなった雄が食いついてくるのを待つかのように―――。
 アキラは、今の自分が他の者からどう見られているのか、それこそよく自覚していた。なにより、男たちのアキラを見る目が、そのことを克明に教えてくれていた。
 ほんの2・3日アキラがその無防備で淫靡な姿を晒せば、城のほとんどの者たちはもうシキへの恐怖よりもアキラへの色欲の方が勝ってくる。あとは、アキラが一言甘く誘いの言葉をかければ、まず落ちない者はいない。今までもそうであったように。
 けれど、それではアキラが面白くない。
 アキラはその中でも、少しでも抵抗を示してくれそうな男たちを捜しているのだ。声をかけて簡単についてくるようでは、興醒めもいいところだ。己の命とアキラの体を秤にかけて思い悩む様を眺めることこそが、楽しいのだから。

 シキの遠征が終わりそうになると、城内の雰囲気が変わる。主を迎えるためにざわめき始める。
 ―――そろそろ…
 今回の標的は決まった。
 シキの執務室の警護の任についている男。アキラの姿を見とめるたびに、食い入るように見つめているくせに、アキラと目が合うとすぐに逸らしてしまう。まだ若く相応の野心もあるのだろうが、アキラへの想いと己の保身の狭間で揺れている、脆い制御心が見え隠れしている。
 今夜も薄衣のシャツ一枚のアキラが近づいていくと、途端にうろたえたように目をさまよわせる。
 クスリと悪魔の微笑みを浮かべ、アキラが語りかけた時、その男の命運は既に尽きていた。
「ねぇ、部屋に、連れていって…」
 ねだるような上目使いで見上げられて、スッと体を寄せて白い指で喉元を撫で上げられれば、たちまちのうちに芳醇で濃厚な香りに包まれる。とても抗えるものではない。
 それでも必死の抵抗で、男は体を強張らせてこの状況を無視しようと努めていた。けれど、ピタリと寄り添った体に男の欲望の証をはっきりと感じた時、アキラは最後の一押しとばかりに力を抜いてしなだれかかる。頼りなげに崩れ落ちそうなその体を思わず支えようと、男がアキラを抱き留めた瞬間。

 陥ちた―――



  <続く>
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淫艶の庭・8

2005–09–03 (Sat) 14:20


 濃厚な夜の時が過ぎてゆく。しじまを破り聞えくるは、アキラの淫らかな喘ぎの声。

「…はっ……あ、…んっ…」

 雄の性を持つ者とは思えぬほどの、艶めかしき官能の吐息は、城中の牡どもが妄執を呼び覚ます。己が間近でその貪淫なるさえずりを一時耳にできたならば、命でさえも惜しくはないと思わせるほどの甘美な誘惑。

「あ………、シ……、キ…」

 時に、波間にたゆたう、儚き木の葉のように。

「…ッ……んんっ! あうっ! あっあっ、あああっっ!」

 時に激しく、時に妖しく、すべてを引き擦り込む水巴がごとく。

 その魔性を帯びる色声だけで、いったい幾人を果てさせ得たのか………。
 覇者たるシキは満足げに微笑みつ、欲情を体内に受け挿れ踊る体を掻き抱き、謳うくちびるを貪り尽くす。
 陽光よりもいっそ煌らかに、月の冷光を浴びて嫣然と。
 尽きぬ欲望に、華奢な体が先に根をあげる。アキラは己が主を深く咥えこんだまま、深淵の果てへと微睡む。再び目覚め、淫猥な時を紡ぎ始めるまで ――


 逞しくも無駄な肉の一切無いシキの胸に凭れかかり、ほんの一時ではあったが気を逸していたアキラが、小さく呻いて覚醒した。
「……ん…」
 体を起こそうとして、未だ深く繋がれたままのシキの楔の存在感に驚いたように、アキラはその白き顔を見上げた。
「どうした? 今夜はまた激しかったな」
 その状態のまま淡々と問うシキに、アキラは軽く微笑んでそれを肯定する。原因は言わずもがな、部屋の隅に控える子奴隷の存在だろう。アキラが退室を命じていないため、彼はずっとそこにいて一部始終を見ていた。
 シキにすれば、奴隷など家具と同じである。彼はアキラの真意がどこにあるのか、どうにも計りかねていた。
「何を企んでいる?」
 訝しげに細められた赤い瞳が、夜の闇に溶ける。アキラはもう一度意味ありげに微笑んでから、ツっとシキの滑らかな胸を指でなぞった。
「別に、何も。ただ、見ていたいだけ…」
 あの純粋な羨望の眼差しがどう変わっていくのか。どれだけのものを見せつければ、変わるのか。これは、その手始め。
「……フン」
 シキにすれば、奴隷のことなど話題にするのも馬鹿らしい。ソレはただのモノなのだから。だからアキラがどういうつもりでソレを二人の寝室に入れておき、しかも行為そのものを見せているのか、そのこと自体が理解不能だった。
 しかしどうやら、いつものようにシキに妬かせたい訳ではないらしい。そういう気配があればすぐにわかる。アキラ自身が言うように何かを確かめたいのか、それとも単なる気まぐれなのか。それならそれで、アキラのやりたいようにやらせてやればいい。
 いつも、そうしているように。
 そして、すぐにそのことに興味を失くしたように、シキが再びアキラを揺さぶり始めた。
「あ…ぅ……」
 シキにとっては単なるモノでも、アキラにとってアレは適度なスパイスになっているらしい。今夜のアキラの乱れ具合は、シキにとっても好ましいものだった。例え奴隷であっても、見られているという事実がアキラをより昂ぶらせるのなら、敢えてそれも甘受しようと思えるほどには。
 傍目にはいかように見えようとも、シキとアキラは同じ穴の狢(むじな)同士。
 同じ速度で、同じ深みに、自ら望み陥ちてゆく ―――
 先の見えぬ野望に突き進むシキにとって、アキラはともに歩む者。シキの原点を知り得る、唯一の拠り所でもあったから。
 互いに知らずにいたとは言え、シキが切り開いたはずのこの果てなき途の原初には、アキラの存在もあったのだということを。だから、今の二人は、為るべくして為ったのだということを。

「…はっ……ん、……ああ…」

 色を含んだ声音が弾む。幾度交わろうと、飽くことなく互いを求め続ける。
 美しき二匹の獣の嬌態を、息も荒げることなく見つめている無垢な瞳は、いったい何を想うのか……。



  <続く>


↓作者あとがき↓
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淫艶の庭・7

2005–08–27 (Sat) 03:55


 白き湯気が立ち込めるバスルームの中。強めのシャワーを体に浴びるアキラの傍らに、相も変わらずうっとりと見惚れている奴隷の子供がいた。シャワーの中から視線を流せば、その都度に目があってドギマギとうろたえる様が面白い。
 唇に緩やかな笑みの弧を乗せながら、流れる湯はそのままに体を外し、その奴隷へと声を掛ける。
「洗って」
 奴隷ならば、そういった主の世話一般の躾はされているはず。ぎこちなくはあったが、泡をたててアキラの体を洗い始める。
 ――― 思ったとおり、か
 体を預けながら、アキラは彼を観察していた。恐る恐るといった感じでアキラの体を洗う手つきは、他の者ならば必ず惑わされるアキラの芳香に影響されている様子はない。目つき仕草は完全にアキラに心酔しているようなのだが、そこになんの下心も見られない。もちろん真裸のアキラを見て触れて、まったく欲情していないというわけでもないらしいのだが、それを大きく凌駕する何かがあるように思えた。
 まだ、子供だからだろうか。いや、それならば今までにも同じ歳頃の子供の奴隷だっていた。それらも普通の雄と同じ反応だったのだ。
 ――― この眼、どこかで………
 そう、アキラがこの子供の奴隷を気にかけたのは、その眼差しのせいだった。どこか気になる、その視線。決して不快なそれではない。
「…ふ、う」
 体を洗い終わったようで、温い湯が掛けられていた。そろそろ考えることにも飽きてきた。まあ、いい。この子供が気に入った。それでいいと、アキラはそれ以上思考することを放棄した。これから常時付き従わせて、様子を見ていればいい。そうすればシキがいない時でも、退屈が少しは紛れることだろう。そして、この子供へのアキラの興味が何なのかも、そのうちわかるだろう、と。

 子奴隷に体を拭かせて、ローブを羽織りバスルームを出た。
「シキ!」
 ちょうど頃合を見計らったように、シキが部屋に戻ってきていた。アキラが駆け出して、ベッド脇で待つシキの胸へと飛び込む。それを軽々と受けとめて、シキがまだ濡れたアキラの髪を愛しげに撫でた。たちまちのうちに甘い香りが立ち昇る。シキに触れられて、ふるると肌を震わせたアキラの豊香が、淫靡な時間の始まりを告げた。

「アキラ」
 その名を呼ぶとともに塞がれた唇。荒々しく、激しく。
「…んっ」
 シキもアキラを手にすると、理性を手放す。いや、もはや、この二人には理性というものは必要ないのかもしれない。
 思う存分互いの唇を貪った後、当然のようにアキラがシキの前に跪く。そして、既に昂ぶり始めているシキの雄を露わにした。うっとりとそれを両手で包み撫でまわし、先端に口付ける。しばらく舌で舐め舐り、たっぷりと唾液で濡らしてから、口に含んでその大きさを味わう。再び口腔内で舌を絡め、唇で扱けば、またグンっとそその体積が増した。
「…ん……っ、……んん」
 その間中漏れるアキラの鼻にかかったくぐもった声も、ピチャピシャリと濡れた音も、淫猥以外の何物でもなく。
「そんなに、旨い、か?」
 わざと煽るシキの言葉とともに、グイと髪に差し入れられた手で顔を仰向かされたアキラの唇の回りは、己の唾液とシキの蜜で濡れそぼり、淫ら極まりない。

「…ん」
 あえかな微笑みは、背徳に咲く徒(あだ)花のように。
「もっと…」
 ねだる吐息は、あくまで甘く。
「今度は……」
 華奢な体は、片手で軽く抱き上げられてベッドへと倒される。
「俺に味合わせてもらおうか」
 ローブを脱がされ、白き細い脚も大きく開かれて。
「ああっ!」
 主の熱き口付けを受け起ち上がった欲望が、トロリと悦びの雫を溢れさす。

 その、淫らで艶やかな睦みごとを、部屋の片隅にて静かに熱く見守る二つの瞳 ―――


  <続く>
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淫艶の庭・6

2005–08–07 (Sun) 22:51


 一度目覚めたものの気だるさのため起きられず、アキラがそのままトロトロと浅い眠りを貪っていると、微かな物音が耳を刺激した。うっすらと目を開けると、部屋のあちらこちらでいくつかの影が動いている。しかし、アキラに警戒の色はない。よくあることだったから。それは、この部屋付きの奴隷たちだったのだ。

 誰も寄せ付けないシキの寝室ではあるが、そこからほとんど出ないアキラのために、シキはいつも部屋を清潔に保っておくようきつく言い渡してあった。だが、普通の部下たちでは部屋に近寄ることさえできない。だからこその奴隷だった。人として数えられない奴隷ならば、シキも入室に目を瞑った。だが、そういう奴隷でさえ、万が一寝室内でシキの目に触れれば、即座に刀の餌食となる。シキにとっては誰であろうが同じなのだ。部下でも奴隷でも。アキラに近づくものはすべて、切る。また、奴隷であればなおのこと、王の眼前に姿を晒すことなど言語道断だった。従って、掃除に洗濯、アキラの食事の仕度や汚れたシーツの取り替えなど、シキが部屋にいない時間に施される。けれど、シキはまだしも、アキラは一日のほとんどをこの部屋で過ごす。たまにシキに連れられて出かける以外は。だから、奴隷たちはアキラが寝入っている時に気取られないよう働くしかなかったのである。そして当のアキラにしても、たとえ目が覚めていても、そういう奴隷の仕事など単に風にカーテンがそよぐ程度にしか見えていなかった。

 はっきりと覚醒せぬままに、アキラがその奴隷たちの仕事ぶりを見流していると、一人だけ奇異な行動を取っている奴隷に気づいた。その奴隷の顏になんだか見覚えがある。それは、先日中庭で見かけた奴隷の子供だった。そんな些細なことはもう忘れ始めていたアキラは始めはそれと気づかなかったのだが、どうやら部屋の掃除をしているらしいその子供が、しきりにアキラの方を盗み見ているのを、薄めた目で眺めているうちに思い出していた。
 やにわに、アキラの顔に笑みが浮かぶ。
――― そう、そうだった…
 ゆらりとアキラがベッドの上に起き上がる。途端に奴隷たちは色めき立ち、そそくさと奴隷専用の出入り口のある中庭へと退室を始めた。急かされて、件の子供も後に続く。

「待って」

 いきなりアキラに声を掛けられて、主の前で声を発することを許されていない奴隷たちは恐怖に慄く。何かアキラの不興を買ってしまったと思ったのだろう。そう思うのも無理はない。先日の一件があってから、奴隷たちは何時シキに粛清されるかと、戦戦恐恐としていたのだ。思いもよらず、未だ何の咎めもないことを訝るほどに。
 先日の中庭でのことといい、今といい、いつもなら見てはいても見えない素振りをしてくれているアキラが、何故こんなにしっかりと奴隷たちを見据えているのか、その真意がわからない奴隷たちは怯えることしかできない。支配者たるシキの一番のお気に入りであるアキラは、奴隷はおろか高級仕官でさえ、その命を左右することができるのだ。
 そしてアキラはというと。別段、他の奴隷たちには何の興味もなかったのだが、つい、雁首を揃えている様子が物珍しくて眺めていた。奴隷たちはそのほとんどが年嵩のいった女たちだった。中には男もいたが、それもこの時代では高齢の方だろう。ただ生き延びるために、人として扱われない奴隷とされても甘んじている、そういう者たちだった。
 一通り奴隷たちを眺めたらすぐに飽きたアキラは、目的の子供へと向かってスイッと指を差す。
「お前…」
 その子供は、他の奴隷たちの孫といったような年頃だ。おそらく、十の齢を少し超えたばかりか。比較的整った顔立ちの男の子。
 他の奴隷たちがびくつく中、指差された本人だけはうっとりとアキラを見つめていた。その様子に、アキラは満足げに頷いて言った。
「これから、俺の世話をしてもらう」
 声にならないどよめきが奴隷たちの間を走った。世話係も奴隷の仕事の一つだ。城の他の者たちはそれぞれ自分の世話係用奴隷を持っている。だが、今まではアキラの世話係はいなかった。シキもそうだが、アキラ自身が望まなかったから。だから、単に部屋付きの奴隷がいただけだった。そのアキラが自分から世話係を命じてきたのだ。
 どうやら不興を買ったのではなく、気に入られたのだと、どよめきが安堵に変わる。そうとわかれば長居は無用と、他の奴隷たちは男の子を残し足早に退出していった。

 一人残された奴隷の子供は、慣れない役割に戸惑いを感じているようでもじもじしながら、それでもアキラの顔から目を離せないでいる。
 ふっと、ほくそえんだアキラが、ベッドからスルリと降り立った。ゆうべの今だから、当然何も身に付けていない。白い裸体を惜しげもなく目の前に晒されて、子供ながらうろたえている様がアキラの愉悦を満たす。
 そのまま、空を歩くような足取りでバスルームへと歩いていくアキラが振り返り、初めての命令を自分の奴隷へと下す。

「からだ、洗って」


  <続く>
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淫艶の庭・5

2005–08–07 (Sun) 03:55


 アキラが重い瞼を開いた時、日はもう高く、朝と呼べる頃合いではないことを知った。だから当然、アキラの視線の先にもうシキはいない。明け方近くまで幾度もアキラと交わって、どれだけ啼かせても、放っても、シキが疲れた素振りを見せたことはない。

 n(ナノ)の血を取りこんでから、シキの精神力と体力はまさに果てがなくなった。昼は己が征服欲を満たすためどこまでも邁進し、夜はアキラが気を失うまで抱く。同じ寝室同じベッドで眠っているはずなのに、アキラはシキの寝顔を見たことなど、ただの一度もなかった。それを嫌だとも寂しいとも思ったことはない。すべてを凌駕するほどの力を持っていたというナノの血を引き継いでしまったのなら、それも仕方のないことだと思えたから。そんなシキに、アキラも取りこまれてしまったのだから。
 しかし、ナノの血は思わぬ副産物を産んだ。あの日から、シキがナノの血を乗り越えた日から、アキラはシキに抱かれる時に一切抗えなくなってしまったのだ。肌に直接触れられるだけで感じてしまう。触れ合ったところから微電流が走り、全身の力が抜ける。口付けられれば自ら身体を開き、貫かれればもっとと欲して腰を振る。心までも支配してしまう強烈な喜悦に、最初の頃は抵抗を試みもしたが、すぐに無駄だと悟ってしまった。血の宿命がナノからシキに受け継がれてしまったのなら、心底シキを拒むことなどできない自分は、運命に逆らうことはできないのだと。
 そしてその変化は当然シキにも同様にあった。が、シキはアキラと違い、性的な快楽だけでは宥めきれないほどの膨大な枯渇を抱えていた。これもナノの置き土産だったのだろうが、しかしシキはナノとは違い深き絶望に陥ることはなかった。破壊的な渇望は、刀を振るえば満たされる。その後に訪れる巨大な空虚を埋めるために…………アキラがいた。それがナノとは違う。ニコルと非ニコル。その真の関係をナノほどは理解していなくとも、二人は自身の身体で悟っていった。
 更に、運命の血は、アキラに二次的変化をももたらした。身体は許しても心は己の物だと頑なだったアキラが、すべての運命を受け入れ、シキに抱かれたがっている自分を認めた時、えもいわれぬ芳香が漂うようになった。男を狂わす芳しき香り。それに抗し得るのは、おそらくシキだけだろう。いや、シキでさえ当にその虜に成り果てていたのか……。

 その香りは、アキラ本人でさえ狂わせていく。

 陥ちてこその快楽と。血と、肉の、愉悦をもっとと…。

 シキに抱かれた翌日は、アキラはベッドから離れることができない。足腰がまったく立たなくなるのだ。体力の消耗も著しい。それほどに激しく抱かれる。シキはものともしなかったが…。そして、シキが城にいる間はそれが毎日続く。アキラが寝室から出ない、出られない日が多くなるのも、当然と言えば当然の成り行きだった。
 それでも、人は慣れていく。それがどんなことであっても。いくら熾烈な行為でも、それが日常となれば、次第に身体は慣れ、回復の術も備わってくる。そうやって、やっとこの頃、抱かれた翌日でも夕刻あたりになれば、なんとか出歩けるようになってきていたのだった。
 けれど、痩せ細った身体がシキの後をついて歩く時、あたり中に彼の芳香を撒き散らす。淫靡さの極地に晒される男どもにすれば、いい迷惑だっただろう。香りで麻痺させられて、容姿で惑わされ、甘く掠れた声で誘われたなら、陥ちない男は皆無だったから。
 シキが遠征で城を留守にすると、その翌日からアキラの徘徊が始まる。まるで獲物の品定めをするごとく、夜な夜な城の廊下を彷徨い歩くアキラの姿は、さながら月の妖精のようだった。……いや、堕天使と言った方がいいか。ターゲットを狂わすのは、シキが戻る前日。己の裏切りをシキに見せつけるため。他の男の残滓を滴らせ、他の男の匂いを纏えば、それと知りつつシキが嫉妬に狂ってくれる。

 アキラはそれが見たかった。シキに、熱く激しく抱かれるために。

 そして、血を、見たかった。
 自分のために流される血は、綺麗だったから。
 己が血を、熱く滾らせるために。
 その時だけ、シキと同じ位置にいるのだと実感できるから。

 血によってもたらされた、狂気という世界の中に。


  <続く>

淫艶の庭・4

2005–08–04 (Thu) 04:00

 夜、寝室にアキラの声が妖しく響く。
「…んっ、……ぁあっ、あ……ん」
 広いベッドの上に横たわるシキのその上で、かげろうのようにゆらめき揺れる。
「は……ん…、…っ…あっぁ……」
 壁一面の窓から差し込む月の明かりが、アキラの体の中心に光る銀のピアスに反射して弾ける。その軌跡を辿るように、シキの指がそれをなぞった。
「あっうっ! ……はぁっ!」
 一際高い嬌声をあげ、そのまま倒れそうなほど仰け反るアキラ。昇り詰めるまでのあと少しを、自ら身体を捩って追い上げる。シキに支えられた腰が、また激しく上下させられる。淫猥な湿った音が後を追う。
「あああぁぁっ! ………っっ……」
「…………」
 アキラがシキの腹へと欲望を撒き散らしたそのすぐ後に、アキラの最奥にも熱い飛沫を浴びた。
「……ぅ…、……はぁ……」
 優美なスローモーション映像を見るように、ゆったりとアキラがシキの上へと倒れこんでいく。繋がったまま斜めに寄りかかり、頭を預けたのとは違うシキの肩へと片手を伸ばし、そろりと撫でる。愛しげに。

 しばらくそうやって遊ばせていたその手を掬い取るように重ねられたシキの手が、軽く握り締められて、独裁者の唇が軽く弧を描く。
「どうした? 今夜はいつもと違うようだが?」
 肩口に小さくキスをして顏をあげたアキラが、月明かりに目を細めて言う。
「……そう?」
 アキラの答えは、逆に問いかけ。それがシキの失笑を誘った。
「…ふ。俺にわからぬはずがあるまい?」
 主の顏をうっとりと眺めながらの、妖艶な微笑みが返ってきた。
「そう。……そう、だね。でも……」
 両の手で肩を押しやり再び起きあがって、未だ萎えぬ己の中の所有者の存在を、今一度感じるために動きだす。
「もう……少し、待っていて」
 シキの指が、それに呼応するように伸びてきて、二つの突起を弄び始める。
「あ………」
 月の光にさえ透けてしまいそうな細い肢体が、陶然とそよぐ。シキの欲情を煽って。
「また、新しい遊びでも見つけたか?」
 返事は、薄めた瞳の奥に瞬く妖しい光。さも楽しげに、笑みを浮かべた口元とともに。
「……ふふ………ぁ……ああ」
 ピアスを強く引っ掻かれて、快感に悶えうつ様も淫靡さを増して見え…。
「まあ、いい。お前の好きなようにすればいいだろう」
 雲に隠された月の光が影を落とし、あたりは水面に波打つ蒼になる。渚に漂う泡のごとく、蠢く白さが艶めかしい。
 潮騒ならぬ、軋みの音をBGMとして、白き魚どもが睦み合う。

「お前の遊びは……いつも、俺をも楽しませてくれる」

「…ん………あ、あ…」

「楽しみに、待たせてもらうとしよう…」



  <続く>

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